リユースPCの時代は約10年前から
ゴードン・ムーアが「ムーアの法則はそう長くは続かないだろう」と言ったのが2005年のことでしたが、ふりかえってみると、一般個人向けPCの領域では、2010年頃までにはムーアの法則は終わっているようです。
インテル製CPUで現在最高峰のチップは、2017年第3四半期に発表されたCore i9-7980XEです。なんと18コア・36スレッドというとんでもない代物です。当然、処理速度は非常に速いのですが、Core iXシリーズの初期、2006年の第3四半期にリリースされたCore 2 Duo E6300に対して25倍弱にしかなっていません。間に12年経っていますから、「18ヶ月で2倍」という法則に照らせば2の8乗で256倍になっていなければならないのです。256倍です。それに対して、現実は「たったの25倍」。
明らかに、はっきりと「ムーアの法則」は終わっています。「新製品がたいしたことない時代」は、すでに10年ほど続いているようです。
そうしますと、すでに考察したように、「リユースPCを積極的に選ぶべき時代」に突入しているわけです。
リユースPC市場は成長中
そのことを裏付けるようなデータが、2016年に「
一般社団法人・情報機器リユース・リサイクル協会」により発表されています。2015年度についての調査で、新製品PCの出荷台数は990万6000台、リユースPCの販売台数は270万台で、合算した1260万6000台に対する比率は21.4%とし、「国内のPC市場において、リユースPCの割合が初めて2割を超えた」と発表しています。
同協会のデータを見ると、リユースPCの販売台数は過去10年にわたって着実に伸びていることがわかります。その要因について同協会は、「企業が使用済みのPCを廃棄処理するよりも、リユース取り扱い事業者に買い取ってもらうほうが、経済メリットがあるとの意識が定着してきた」、「中小企業を中心に使用済みPCのデータ消去作業と買い取りを合わせて、リユース取り扱い事業者に依頼するケースが増加している」といった事情を挙げています。
そのデータを見ると、2014年度と2015年度では新製品とリユースPCを合わせたPCの総販売台数が急減していることもわかります。「今あるPCで十分」であり、多少古いPCでも使い続けようという風潮が急速に広まっていることがうかがえます。
このような時代ですから、中古PC市場は今後も着実に成熟を続けるでしょう。消費者にとっても、法人ユーザーにとっても、中古PCがますます選びやすく、買いやすい時代になっていきます。
目前の5G時代にも注意を
ちかい将来に、ICTの領域に大きなインパクトを与える変化が起きようとしています。現行の移動体通信規格4G LTEもつい最近普及したばかりだというのに、次世代の移動体通信規格5Gが、速くも世に出ようとしています。日本の総務省は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにあわせた5Gサービス開始を目指していましたが、2018年2月にスペインのバルセロナで開かれたモバイル端末見本市で、世界の名だたる大手メーカーがこぞって5G技術を披露、2018年後半にも商用利用を開始できるという勢いを示したのを受け、1年早い2019年にも、5Gサービスが開始される可能性が出てきました。
次世代移動体通信規格5Gは、半径1km圏内の同時接続可能端末台数が4Gの10倍の1,000台、通信タイムラグが1,000分の1秒以下となるなど、すぐれた特徴を持っていますが、なんといっても最大の特徴は通信速度です。最低でも10Gbps。現行4G LTEの最大1Gbpsの10倍以上になります。
速くなるのはけっこうなのですが、問題は現在あるPCがその高速通信を活かしきれるか、受けとめきれるかという点にあります。USB接続のモデムを考えますと、現在のUSB3.0でデータ転送速度は最大5Gbpsとなっていますので、モデムがその転送性能を活かしきったとしても、10Gbpsの半分しか活かしていないことになります。これではせっかく何秒かに2把ずつ流しそうめんを流してくれているのに、そのうち1把しか食べられないのと同じことです。1把分のデータが、バッファにどんどんたまっていくというもったいない話になります。
また、5G対応のモデム・チップは何社かがすでに開発済ですが、これを搭載したPCが発売されるのは5Gサービス開始後のことでしょう。
つまり、5G通信をフルに活かせるであろう「USB4.0」は現時点ではまだなく、5G対応のモデムを搭載したPCもまた今はない、ということです。
そういう背景から、次のようなことが言えます。
「5Gサービス開始を目の前にしている今、新品のPCを買うことほど馬鹿げた話はない」。
今このタイミングで新品のPCを買ったら、それこそあと2年もしないうちに陳腐化してしまうのです。
このように、PCの陳腐化の要因はCPUの性能向上ばかりではないのです。通信機能はいまやPCの中枢にかかわる部分、本質的と言っていい部分です。その部分で早期の陳腐化が約束された製品を買うのはおろかです。CPUばかりではなく、ICT業界全体の変動も見据えながら、PCというものへの投資は考えるべきです。
こうした理由により、今、PCを買う必要があるとすれば、リユースPCを選ぶのが賢い選択です。
Ethernetもちかく「次」が来る
移動体通信規格5Gのサービスがはじまると、おそらく一時的に「Ethernet接続よりも5G無線接続の方が速い」という状況が生まれます。しかし一時的なもので、現行の1000BASE-Tに代わる「10GbE(10Gbit Ethernet)」という規格がすでに成立しており、さらには40Gビット、100Gビットという規格も国際組織IEEEで調整中です。
時期に関する予定は立っていませんが、そう遠い未来ではありません。そしてもちろん、上記のような高速Ethernet接続に対応したマシンも、現時点では発売されていません。
5Gについても、10GbEについても、それらによる高速通信が必要になったときの投資にそなえて、今というタイミングでは資金を温存すべきでしょう。
将来におけるICT分野の変化を考えると、リユースPCを選択することが第1選択となります。
高速通信によりPCそのものが消えることも
セントラルサーバーとの間で高速通信が可能な環境であれば、「シンクライアント Thin Client」や「ゼロクライアント Zero Client」というコンピューティングも可能になります。
シンクライアント環境では、個々のユーザーが使う端末にはCPUとメモリーと入出力デバイスしかなく、アプリケーションやOSもインストールされていません。それらは、端末を使用するために起動するたびに、セントラルサーバーからダウンロード&インストールされ、起動されます。OSやアプリケーションの更新、セキュリティー対策はすべてセントラルサーバーで一元的におこないます。機密セキュリティーも高められるシステムです。
ゼロクライアントではさらに、端末はCPUもメモリーも搭載しません。通信機能と入出力デバイスがそなわっているだけです。ユーザーは端末を通してアプリケーションを使用しますが、それはセントラルサーバー上で実行されています。ユーザーの実感ではふつうのPCを利用しているのと変わりませんが、それはセントラルサーバーから「配信」されてきている仮想デスクトップなのです。
シンクライアント、ゼロクライアントのいずれも、高速通信環境を必要としますので、現在は高速LAN環境をもつ企業や法人の一部でしか導入されていません。しかし、高速な5Gや10GbEが一般社会を高速通信で覆う時代が来ると、法人はおろか個人ユーザーまで含めて「PCを買わずに」、シンクライアント、ゼロクライアントを導入する流れになってくるかもしれません。なぜならば、アプリがない、OSすらない、あるいは、CPUもメモリーもない、ということになりますから、ユーザーが持つべきなのはキーボードとモニターだけということになり、現在のPCよりもずっと安くなるからです。
CPUとメモリー、HDD、OSにアプリ、すべてを搭載した高額なPC(Fat Client)が旧時代の遺物になる未来も、けっこう考えられるのです。
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